2009年12月18日金曜日

ペダル内蔵型パワーメーター(続報)

発売されれば間違いなく「世界最軽量」のパワーメーターとなるはずの「MetriGear Vector」ですが、当初予定されて居た来年第一四半期の発売は絶望的とのアナウンスが出されました。

現状でも、気温、ケイデンス、出力、路面状況、ペダリングの癖等々の違いで個体間で計測値にバラツキが生じるためその対策に追われて居るとのこと。今後も同様の障害が発生するであろうことを考えると「楽観的に見ても第二四半期後半に出せれば幸い」だそう。量産時の歩留まりや管理ソフトの利便性と言った問題ではなくて、安定して正確な計測値を出すと言う根幹部分の問題でここ1ヶ月の間に3ヶ月延びるって言うあたり、これはこの先もっともっと延びそうな予感。発売前に資金ショートで倒産なんてことにならないように願うばかり。

機材スポーツって何かを新しくして自分を奮い立たせるなんて事も結構あったりすると思うのですが、「来シーズンに入ったらパワーメーター導入して本気出す!」って人には間に合わないこと必至です。

2009年12月16日水曜日

カンパのブレーキレバーが遠い場合の対策


スペシャライズド」の「SLIM SIM」を始めとしてシマノのSTI用にはレバーを近づけるための部品が方々から発売されて居ますが、カンパニョーロのエルゴレバーには長らく相当する製品がありませんでした。自分には「Schmolke TLO」の下ハンを持った時のレバーが若干遠くて、でも、ハンドルは(軽量化のためにも)換え難かったものですからレバーを加工してリーチを縮めることにしました。

エルゴレバーにはタイヤの脱着用にピンをスライドさせることで素早くブレーキシューの間隔を変えられる仕掛けがあります。通常時、レバーの内側でピンを受けてレバー位置をきめて居る凹みよりも解放時にピンを受ける外側の凹みの方が深いので、ピンを外側にスライドさせるとレバーが余計に開く(下の写真の状態)と言う仕組みです。リーチを短くするには通常時にピンの収まる内側の凹みを加工します。

要は内側の受けを浅くして奥まで行かないようにすれば良いのですが、テープを貼るとかパテを乗せるとかの方式は使って居るうちに取れたりして却って面倒そうなのでいただけません。凹みの奥に小さな穴を開けて、そこに気持ち大きい径(M1.6)の芋ネジを挿れてみました。写真中央の頭のない小さなネジがそれです。これだとヘキサゴンレンチを使ってネジの突き出し量を変えることで自在にリーチを変えられます。ベストな位置が決まったらワイヤーの調整をしておしまいです。

DIYの苦手な向きには今年になって国内の「GROWTAC」と言う所からピン自体をそっくり換装する事でリーチを5mm近付けられると言う製品が発売されて、これは朗報でしょう。考え方は同じですが、こちらはピンの頭を凹みの径よりも大きくして途中でピンを留める仕組みです。

ただ、どちらの方法でも折角面一にデザインされたブラケットとレバーに写真のような段差が出来てしまうのが残念な所。


2009年12月15日火曜日

サイクルモード(その3)チタン製ボトルケージ


カーボンパーツ全盛の中、かつては軽量チタン製パーツのブランドとして知られて居た「TITEC」からオールチタン製ボトルケージが出展されて居ました。スマートかつ丈夫そうなデザインで最新のカーボンフレームに取り付けても違和感はなさそうですが、素材の硬さの割に左右の腕が短くなるのでボトルの脱着はかなりキツい予感がします。実測27グラム(カタログ値25グラム)とか。

これ、2007年のサイクルモードでOGK(技研の方)から出展されたもの、また、「Token」のチタニウムシリーズ「Atik」として売られて居るものとも同じものですが、実は海外の通販サイトで既に色々な名前で極めて安価に売られて居る台湾のノンブランド製品。海外のユーザーフォーラムではネジ取り付け部のプレートが容易に破断するトラブルも報告されて居て、溶接時の酸素の遮断を怠って居るに違いありません。

チタン製品の価値や信頼性はひとえに作業環境(設備)と溶接技術にかかって居るので「TITEC」ブランドに期待して購入すると痛い目を見るかも。

オールチタン製ボトルケージと言えば、元祖「KING」が有名です。

うちにはこれが新旧2個あって、両者の購入時期は15年も離れて居ます。それでも先に入手したものが取り付け用ネジ穴の間隔が狭い(規格が変わったのかな?)こと以外に現行品との違いはなくて、今でも古びれることもなく、あたかも同時期に買ったもののように使えて居ます。最新パーツも良いけどこう言う製品も素敵です。20年近く前の軽量パーツなので今となってはやや重の30グラム程、デザイン的にも今時のカーボンフレームとはミスマッチかも。

2009年12月13日日曜日

サイクルモード(その2)新型ヘルメット各種

幕張メッセにて明日まで開催されて居る「サイクルモード」。今年は自転車本体には特に惹かれるものはなかったのですがヘルメットは気になるものがいくつも展示されて居ました。

「OGK エアロ・SN / エアロ・TP


受注生産のトラック/TT用ヘルメット。カーボン製のシェルは自重でたわむ程、また光が透ける程に薄くて、内部に帽体が入って居るにも関わらずメーカーサイトによるとどちらも「公道使用不可」です。 帽体と一体化させて居ないため強度が足りないのかも知れません。トラック用の「エアロ・SN」はとても美しい形状をして居ます。シェルが大き過ぎかと思ったけれど被ってみると意外と気になりませんでした。 TT用の「エアロ・TP」は他社製のものと比べるとかなりずんぐりとした印象で今ひとつ。帽体が1サイズなので注文生産とは言えテーラー・メイド的な要素は特にないようです。

「 OGK REDIMOS」(未撮影:リンクはサイクリングタイム。)
  恐らくは「OGKカブト」の次期フラッグシップモデルです。全体の印象は「MOSTRO」と似て、相変わらず捉えどころのない野暮ったいフォルムですがディティールの工夫で若干垢抜けた印象。特に後方からの見た目は改善されて居ると思います。 記憶が確かなら樹脂パネルをカーボンのリブで補強した、「GIRO Atmos」を真似たシェルだったはず。 「MOSTRO」以上の強度と通気性を同時に獲得して居て、それと引き換えに若干重量が増して居ます。

「LIMAR CARBON PRO104


従来型の「ULTRALIGHT PRO 104」にカーボンパーツを追加して補強したモデルで若干の重量増です。 シンプルで美しい形状に表面仕上げのされて居ない無骨なカーボンが剥き出しになって居るところがミスマッチで残念ですがグリーンやブルーの単色モデルが選べるのは魅力かも。未だに「WORLD'S LIGHTEST HELMET」のデカールが貼られて居るのはご愛嬌です。

「GIRO Prolight

世界最軽量を謳う「Giro」の最新型です。サイクルモードでは白、黒の単色モデル(Mサイズのみ)が展示されて居ました。「Ionos」を発売した時の「安全確保には前縁部や前頭部のボリュームが必要」って言う主張は 何処へやら、帽体がかなり小さくて、キツくて被れないかと思ううちに頭が帽体の天辺に当たってしっくりと収まる感じ。 他社の超軽量モデルがカーボンリブを追加したりして「Atmos / Ionos」化して居る中、元祖のこちらは前頭部がリブを排した一体型シェルになって居ます。 単色モデルを写真で見ると前部の穴付近がやや寝呆けた印象に見えますが実際は上のようにシャープなディティールがあります。全体のフォルムは「GIRO」製品らしくとても奇麗です。

「GIRO Atmos

未だに生産されて居る息の長いモデルです。機能的な変更はなくて、カラーバリエーションだけ。 プロへの供給がなくなったせいかデザインの自由度が増したみたいで、今回はマット・ブラックとPOPカラーのコンビネーション。お洒落な印象です。

「GIRO Flume

子供用のかわいいデザイン。残念ながら子供用1サイズのみです。

2009年12月12日土曜日

サイクルモード(その1)パワークランク出展


昨日から幕張メッセにて開催されて居るサイクルモードのRGTエンタープライズブース(2-05)では「PowerCranks」が写真のような形で展示されて居ます。いきなりの乗車は危ないせいでしょうか流石に試乗車はありませんでしたが、どのようなものかの理解と、パワークランクの達人、ザックさんによる詳しいプレゼンテーションが得られると思います。

デモ機は軽量化のための肉抜きもロック機構もないタフなモデルでした。恐らくは旧型のようで削り出しの跡が目立ちましたが現行品の仕上げはもっとずっと滑らかで奇麗です。実物を見る機会はなかなかないと思いますので興味のある方は是非足を運んでみてください。

その他、こちらのブースには「Assos」のサイクリングウェアと「Ax-Lightness」の軽量カーボンパーツも展示されて居ます。

2009年12月9日水曜日

カーボンパーツ取り付けのトルク管理


局所的な過負荷に対して脆弱なカーボンパーツが多用された自転車の広範な整備を自分でするのであれば、トルクレンチ(ドライバー)は今や必携の工具だと思います。オーバートルクで部品を壊したり、それによって怪我をすることのないよう勘に頼った組み付けはするべきではないでしょう。

計測器は一般に精度が高さと測定範囲の広さが掛け合わさるともの凄い勢いで高額になって行くため、何らかの用途に合わせて適当な所で両者の折り合いを付けて商品化されて居るものが殆どです。また、上限、下限付近の精度はあまりあてにならないので、下の方を使う時はそれ用により精度の高い狭い範囲の物を、上の方が足りな目の時は、より精度の低い広範囲の物でカバーしたりして工具箱を狭くすることになります。

我が家のトルクレンチは元来「自転車用」ではないのですがトルク測定範囲の下限は2Nmから、上限も十分あるものの、1Nm刻みの目盛り幅が2mm足らずでcNm単位の作業には不向きです。このトルクレンチを使って下の方、例えば「Schmolke TLO ハンドルバー 」を「Ax-lightness Zeus ステム」に3.0Nmで締めるには機械の誤差を考えるとちょっと怖いですし、「Schmolke のM5カーボンボルト」を1.5Nmで締める等と言う際にはそもそも下限が足りません。そこで下の方専だけ高精度のトルクドライバー(写真上、逆ネジ非対応)で補填して居ます。

そんな中、先月新発売された「KTC」のサイクルツールシリーズにラインナップされて居る、「デジラチェ 小トルクタイプ(GWEC3-030A)」はかなり良さそうです。
サイクルツールシリーズ」と銘打って居るだけあってBB等一部の箇所を除けば自転車整備で使用したいほぼ全域(2Nm〜30Nm)をカバーして居ます。

精度については表示単位こそ0.02Nmと細かいものの測定誤差が大き目(下の方は±12%)ですから小数点以下2桁目は全くの飾りみたいなものでしょうが、それでも自転車用としては十分な性能で、これ1本あれば殆どの作業に困ることはなさそうです。新たに導入するならこれはお薦め。

2009年12月8日火曜日

Syntace F99 軽量アルミ製ステム


先月退役させた「Syntace F99」 は、90mm(のチタンボルト仕様)で実測90グラム。構造上最低限に近い形状の鋳造(と思われる)ボディの内側とクランプ部をギリギリまで切削加工する製法で軽量化を低コストで実現して居ます。残念なのはオール削り出しで丁寧に作られたものと比べると表面の仕上がりが汚ないこと。また、ハンドル締め付け用バンドの受け側にはボルト穴が貫通して居て、不揃いのギザギザがとても無様です。より軽量な「Ax-lightness Zeus」と比べても若干剛性が劣るかも。

この商品に印刷されて居る規定トルクは6Nmですが、取り付けるのが軽量なカーボン製ハンドルの場合、そこまで耐えるものはそうないはずなのでハンドル側の指定トルクに合わせることになるはずです。「Schmolke TLO ハンドルバー」と合わせるならハンドル側の要求で3.5Nmまでに下がります。

2005年に一部ロットでリコールを出して居ますが事後の対応はきちんとしたものでした。
このケースもそうだったとは断言出来ませんがこの手のリコールには必ずしもメーカー側だけに非があるとは思えないものも出て来ました。昨今のパーツはミドルレンジのものでも相当に軽量ですし、部品のカーボン化も進んで居て局所的な過負荷にはかなり脆くなって居るのに、ショップやユーザーが従来のような勘に頼った取り付けをして居るせいで起きた破損は結構多いんじゃないかと思います。一度トルクレンチを手にすれば規定トルクが想像以上に弱い力だってことに驚かされるはず。

他方、現在、カタログ上の数値で最も軽いと思われるアルミ製ステムは「ExtraLite RoadStem UL3(写真下)」、90mmで78グラムです。製法はほぼ「F99」と同じまま、随所にアルミの分量をさらに減らす工夫がされて居ます。ボディの表面も一部切削加工されて居る様子。ただ、写真を見る限り「F99」から12グラム分のアルミを削ぎ落とせて居るようにはとても見えないので「ズル」の可能性は高いです。海外のフォーラムで紹介されて居たものの実測値は100mmのものでカタログ値より6グラム重かったようなので、90mmだと84グラム程度と言うのが本当の所なんじゃないかと思います。


かつて軽量ステムを出して居た「ROTOR」、「ITM」からは現在はさほど軽くない製品しか出して居らず、剛性アップの方に気持ちが向いた様子。プロのレースに6.8キログラムの最低重量規制がある以上、敢えて重要機能部品で無理するメリットはないですからね。

2009年12月4日金曜日

世界最軽量(だった)ヘッドセットの話


最近、ロードレーサーのステムを「Ax-lightness Zeus」に換装したことでコラムの長さが足りなくなってスペアのフォークを下ろしたのですが、それだけの理由で元のフォークを捨てるのは勿体無いので手頃なヘッドセットを探して居ます。

組み立て当時、軽量パーツ業界で一番目立って居た「m2 racer」の世界最軽量ヘッドセットはプラスチック製の初代(39グラム)、アルミ製の二代目(37グラム、写真上)とも試しました。この2つは後にメーカーが全品回収することになって廃業の大きな要因となってしまった曰く付きの商品で、残念ながらどちらもまともに使えるレベルにはない、とても危険なものでした。ブレーキレバーを引いて前に力をかけるとフォークが後ろにスライドする程。(家にあったストックは「m2 racer」廃業の折にサドルやペダルと等価交換して貰ったので今は所有して居ません。)

これに懲りて現在は信頼のブランド「Chris King」を使って居るので性能には不満がないものの20年前の軽量パーツは今となっては流石に重た過ぎです。折角なら軽いものを選びたいってことで候補は下の2つ。

Cane Creek AER.TR」:上ワンのベアリングを省略、テフロンブッシュにして46グラム

KCNC Morion M3」:セラミックベアリング採用で44.5グラム

他にも竹やトラス構造のフレームを作って世間を賑わせて居る「BME」からは古くから超軽量なヘッドセット(セラミック:50グラム、ブッシュ式、43グラム)が出て居ますが、ハイトが高そうなので候補外です。

2009年12月2日水曜日

フリーペーパーに新城、別府両選手のインタビュー記事


「am/pm」でみつけたフリーペーパー「Spopre」76号は2009年自転車特集。新城、別府両選手のインタビューがそれぞれ1ページと、ジャパンカップレポート、サイクルモードの告知等、自転車関連記事が数ページにわたって掲載されて居ます。インタビュー記事については紙面の関係で特に目新しい所はないのですが、別府選手の「RadioShack」への移籍も決まってこのユニフォーム姿は見納めですね。以下は新城選手のインタビューからちょっと面白い抜粋です。

-最後にスポプレ読者に自転車を始めたくなるようなコメントをお願いします。
「車を買う代わりに、自転車を買ってみてください。同じような金額で買えるので、必ず自転車にはまると思います」

新城選手の言葉を編集で適当に端折ったらこんな事になっちゃったんでしょうが、これではとてもじゃないけど気軽には始められないような敷居の高さです。そんなことにならないよう、(まあ何の影響力もないでしょうけど)このブログでは特に聞かれない限りは「お金のことは言いっこなし」にして居ます。実の所、趣味としての自転車には良い所が沢山ありますが、お金をかけてもかけなくても楽しめるのもそのうちの一つだと思うからです。

2009年12月1日火曜日

軽量タイヤ「TUFO Elite Jet <160g」

TUFO」のロード用タイヤとしては最軽量の「Elite Jet <160g」です。重量は商品名に違わず160グラム未満です。

うちでは登坂タイヤとしてロープロファイルのカーボンホイールに嵌めて使って居ます。意外と丈夫だし、センター部でゴムを厚盛りしてあるため想像以上に長持ちします。この重量にして十分日常使用に耐えるタイヤだと思います。指定空気圧が10気圧以上(〜15気圧)って言うのがフロアポンプで管理するにはちょっとキツいかも。

これを標準タイヤとして使わないのは、贔屓の「Continental COMPETITION」と比べて実際の軽さで期待してしまう軽快さがないように思えるからです。重量がかなり軽いだけにサイドウォールがとても薄く作られて居て腰砕けがあるのでしょう。相当に高圧で使用しても転がりの悪さは改善されません。長寿命の「Elite 100g」と言う感じ。

TUFO」にはほぼ同重量の「S3 Litte <165g」(写真下)って言うのもありましたが、こちらは一応トラック用と言う事でトレッドが薄くてその分減りが早いためやはり路上走行向けとは言えない感じ。対パンク性も特には考慮されて居ません。その割に重量が嵩んで居るのはバンクを走るために(?)トレッドを広く採ってあるからだと思います。サイドウォールが蛍光イエローで奇麗です。