2009年11月17日火曜日

「PowerCordz」 インナーケーブル

PowerCordz」はザイロンの繊維の束をナイロンのケースで覆った非鉄製のインナーケーブルです。内側のザイロンで引っ張りに耐え、外側のナイロンケースで形状を保持して戻しに応える仕組みです。カット前の重量でブレーキ用、シフター用と合わせても17グラムしかありませんから、実にアウターケーブルの軽量化よりも効くことになります。

まず、「パッケージに商品を入れ忘れたんじゃないか?」と思う位に極めて軽いことと「錆びない素材」って言う所は大変魅力的です。加えて、ケーブル表面が滑らかで潤滑も低粘度のオイルを使用することから作動も軽いですし、正しく使えばメンテナンスフリーで長寿命ですから性能的にも優れた商品と言えます。

まだ一般に売られて居ない頃、メーカーに問い合わせて色々と情報を貰ってロードレーサーとカンチブレーキ仕様のMTBに導入しました。組み付けに際しては、当時のモデルは汎用シフトワイヤーがエルゴレバーの凹みに嵌まらなかったのでタイコ部分を耐水ペーパーで桂剥きする必要がありました。また、現在はメーカーから「Nokon」用ライナーが用意されて居ますが、当時はまだなかったためシマノのテフロンライナーを流用しました。

欠点は、一度固定ボルトを緩めたらナイロンのケースが潰れるのでその場所では再締め付けが出来ないこと、一度潰れた部分は形が戻らないのでもうアウターを通らないことで、つまりはほぼ1発でセッティングしないといけないと言うことです。ケーブル長を短くする方向以外では再利用が出来ない訳ですから、フロント用はリアで使ったものからの使い回しも可能ですが、リア用は常に新品をおろさないといけません。そのせいでオーバーホール時にはついついなんとかしてケーブルをばらさなくて済まないものか?と考えてしまいます。工夫すると外さないでも大抵のことは出来ます。

また、外側のナイロンケースが破断すると引っ張られた時に内部のザイロンだけがずるっと動いてしまって、そうなるともう機能しなくなってしまいます。これを避けるためには締め付けられる(摩擦する)長さをなるべく多くとって力を分散させる必要があります。発売当初は上記を目的としたケーブル固定部用のパーツとしてはMTBのカンチブレーキ用のもの(下の写真)しかありませんでしたが、今は、各コンポメーカーに対応した専用のパーツがありますので必ず使用することをお勧めします。
ナイロンのケース部分に大きな傷が付いたら要交換ですが、各パーツ終端のケーブル出口とケーブルの固定部分で傷付けないように配慮すれば、先述の通り一般のケーブルと全く遜色のない(か寧ろそれ以上の)寿命がメンテナンスフリーで得られます。現在使って居るディレーラーケーブルはもう3年もの間、初期状態の性能を保って居ます。

他方、ブレーキケーブルでは一度大変痛い目に遭って居ます。「ax-lightness」のブレーキキャリパーで使って居たのですが、このブレーキのワイヤー固定は1cm足らずの直線上で行って居るために普段からそこにストレスがかかって居たようで、ある雨の日、赤信号の交差点でレバーを引いた途端に前後同時におシャカになったことがあって、その時は咄嗟に左折して逃げましたが本当に怖い思いをしました。

こちらも現在ではサードパーティーから初期型MTB用と似た固定方法を可能とする対応パーツが出て居ますのでそれを使えば安全に使用可能です。(下の写真です。)
組付けに際して、適合させるためのオプションパーツや潤滑剤等が要求される「注文の多い商品」ですが、それらも最近は結構出揃って来て居ますし、その手間をかけるに足るメリットのある商品ですから正しく使えると言う方にはお薦めです。

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